取得マネジメントの全容
取得(Acquisition)は、特定のニーズの目的を実現させるソリューションを決定し、そのソリューションを構成する要素(製品や構造物、成果物など)を明確にすることから始まります。
各々の要素はライフサイクルの視点で最適なベネフィットを生み出す要素でなければなりません。それらの要素、例えば設計、(技術)開発、プロトタイプ作成、製造、試験、運用、維持管理を経て、目的である最終結果(アウトカム)を獲得することが取得となります。また取得を成功させるための重要な活動に、各々の要素を適切に獲得するためのマネジメント、さらにそれら個別の要素を統合させて最終結果に導く統合マネジメントがあります。
取得マネジメントを構成する主要なマネジメント要素は以下の通りです。
それぞれのコースは個別に実施することも、全てあるいはいくつかのコースを組み合わせて実施することも可能です。
AoAを活用した分析 (Analysis of Alternatives)
取得を必要とするニーズが確定すると、その目的を達成し最終結果を獲得するための最適なソリューションを策定しなければなりません。そのプロセスにおける要素のひとつがAoAです。
予算管理
予算には、ライフサイクルでの投資判断に基づく予算や、個別案件(プロジェクト)に対する単年度予算、複数年予算があります。これらの予算には外部との契約に基づくコストの他に発注者の投資計画も含まれています。
コストのエスティメイトとスケジュールのエスティメイト
エスティメイトの技法には、「類推:アナロジー」、「パラメトリック」、「積算」などがあります。エスティメイトでは、対象となるプロジェクトや成果物の特性、範囲、取得の進行段階、エスティメイトの目的に応じて最適な技法を選択します。またエスティメイトでは、データの収集や取り扱い、必要な値を導くための数式なども重要になります。
WBS(Program WBS / Contract WBS) とWBSディクショナリー
取得マネジメントや調達マネジメントに於けるプログラムWBS (PWBS) や契約WBS (CWBS)の考え方及び作成の方法を米国連邦政府のスンダードにもとづいて解説します。更にWBS要素を具体的に記述したWBSディクショナリーの記載方法や活用について学習します。
PMB(Performance Measurement Baseline)とEVM(Earned Value Management)
エスティメイトによって明確になったWBS要素ごとのデータ(コスト、スケジュール、テクニカル・パフォーマンス、リスク)をもとに、測定可能なパフォーマンスをベースにした計画値(PMB)を作成します。このPMBをもとに、EVM技法を活用してプログラム/プロジェクトの進捗を科学的に測定し、分析し、評価して、その結果をすべての利害関係者で共有します。また、それらの評価結果に応じて予防措置や改善措置を行いプログラム/プロジェクトの目的を達成します。この技法やマネジメントの先駆者である米国国防総省を始めとする連邦政府のグッド・プラクティスを紹介しながら全容を学びます。
リスク、イッシュ※、機会のマネジメント
潜在的、顕在的なリスクやイッシュ(Issue)を抽出し、同時にその延長線上にある様々な機会をとらえて、包括的でプロアクティブはマネジメントを目指します。
※イッシュ:確実に出る、または既に出ている問題や課題
IBR (Integrated Baseline Review)
PMBにもとづいてプログラム/プロジェクトを実施する前に、利害関係者で当該PMBを理解し実現性を確認するためのレビュー会議を実施します。
ロジスティクスとサプライチェーン
取得する要素やその部品に対しては、持続可能でタイムリーなデリバリーを確保しなければ
なりません。そこには部品の枯渇、セキュリティ、さらには技術の進化に対応するためのモジューラー化など、様々な課題があります。これらの課題に対しては、設計時点から戦略的な対応を考慮していなければなりません。